この記事のダイジェスト
子供が生まれてから大学を卒業するまでにかかる費用について説明します。
こどもの成長過程で必要になってくる費用と貯金計画について考えます。
教育費と養育費の内容をわかりやすく解説します。
こどもの教育費には何がある?
こどもが生まれてから大学を卒業するまでには、いったいいくら費用が掛かるのか、子育て世代は必ず考えることのひとつですよね。育つ地域や環境、本人の希望や親の希望など人それぞれ違いはありますが、基本ベースとなる費用について考察しよう保育園
保育園(0~6歳)
保育園は0歳~6歳まで通うことができます、出産後すぐ働きたい人や子育ての補助として利用することができます。送り迎えは基本、親が行います。
幼稚園は3歳~6歳まで通うことができます。小学校の入学前の準備教育や集団生活の練習として利用することができます。送り迎えは基本、園が行います。
保育園と幼稚園は管轄省庁が違うので月々支払う費用の計算方法が異なります。
保育園(厚生労働省)幼稚園(文部科学省)
認定こども園(内閣府=厚生労働省と文部科学省も係わっている)
まず保育園には『認可保育園と認可外保育園と認証保育園と認定こども園』があり、認可保育園と認定こども園の場合は世帯収入が多いほど保育料が高くなる仕組みです。
『認可保育園と認定こども園』の保育料は住んでいる自治体により違いがあり、国が定めた上限額に対して各自治体が補助金を出すことで世帯の費用負担額を減らしています。
そのため全国の各自治体の子育て支援へ対する理解が補助金額の額を決めています。
まず国が定めた保育料の上限は月10.4万円で、そこから各自治体を見ていくと3歳未満で東京都中央区の上限は6.4万円、大阪市の上限は7.06万円、名古屋市の上限は6.4万円、岩手県盛岡市の上限は4.2万円となっています。国の上限までは国が負担しくれ、そこから各自治体の上限まではその自治体が費用負担を軽減してくれます。
そこで世帯所得をもとに計算される住民税の所得割課税額を、各自治体が定めた保育料の階層区分に当てはめることで保育料が決定します。
認可保育園以外の保育園は金額を自由に設定できるので園によってバラツキがありますが比較的、認可保育園より保育料は高くなる傾向が見られます。
認証保育園は東京都独自の基準でできた保育園で多様化する保育ニーズに応えることができる、新しい方式の保育所であるとされます。
(月額) | 料金は一概に比較しづらい |
認定保育園 | 0~7万円 平均2万円 条件により変動 |
認定外保育園 | 施設により異なる 平均5~6万円 |
認定こども園 | 0~7万円 平均2万円 条件により変動 |
認証保育園 | 平均4万円 多様化するニーズに対応 |
関連:内閣府 よくわかる「子ども・子育て支援新制度」https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/sukusuku.html
関連:内閣府 幼児教育・保育の無償化概要https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/gaiyou.html#nintei
年代別に教育費にかかる費用を学習総額費として、内訳は(学校教育費+学校給食費+学校外活動費)という風に表していきます。
学校教育費・・・学校教育のために各家庭が支出した全経費(授業料、入学金、学用品費、通学用品費)
学校給食費・・・幼稚園、小学校、中学校、において、保護者が給食費として納付した経費
学校外活動費・・・補助学習費(予習、復習、補修などの学校教育に関係する学習をするために支出した経費)その他活動(知識や技能を身に付け、豊かな感性を培い、心とからだの健全な発達を目的としたけいこ事や学習活動、スポーツ、文化活動などに要した経費)
幼稚園(3~6歳)
幼稚園は公立と私立では金額にかなりの違いがあり私立は公立の約2.35倍の費用が掛かるデータがあります。
学習総額費の内訳は(学校教育費+学校給食費+学校外活動費)年間平均で公立は約22.4万円(12.1+ 1.9+ 8.4)で私立は約52.8万円(33.1+ 3.1+ 16.6)の費用が掛かります。
学習総額費に対する割合としては
学校教育費(学校教育のために各家庭が支出した全経費)の中では,公立・私立幼稚園ともに 「授業料」の支出が最も多い。
学校外活動費(補助学習・その他活動)の中ではスポーツ・レクレーション活動に対する支出が最も多い。
(年間) | 学校教育費 | 学校給食費 | 学校外活動 | 合計 |
幼稚園(公立) | 12.1万円 | 1.9万円 | 8.4万円 | 22.4万円 |
幼稚園(私立) | 33.1万円 | 3.1万円 | 16.6万円 | 52.8万円 |
※一部参考 文部科学省 30年度こども学習費調査https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00102.html
小学校(7~12歳)
小学校も公立と私立の学校があり私立は公立の約5倍の費用が掛かるデータがあります。
学習総額費の内訳は(学校教育費+学校給食費+学校外活動費)年間平均で公立は約32.1万円(6.3+4.4+21.4)で私立は約159.9(90.4+4.8+64.7)の費用が掛かります。
学校教育費を見ると,公立小学校では「図書・学用品・実習材料費等」の支出が最 も多い。私立小学校では「授業料」の支出が最も多い。
学校外活動費は,公立・私立小学校ともに「補助学習費」(自宅学習や学習塾・家 庭教師などの経費)の支出が最も多い。
(年間) | 学校教育費 | 給食費 | 学校外活動 | 合計 |
小学校(公立) | 6.3万円 | 4.4万円 | 21.4万円 | 32.1万円 |
小学校(私立) | 90.4万円 | 4.8万円 | 64.7万円 | 159.9万円 |
※参考 文部科学省 30年度こども学習費調査https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00102.html
中学校(13~15歳)
中学校も公立と私立の学校があり私立は公立の約2.9倍の費用が掛かるデータがあります。
学習総額費の内訳は(学校教育費+給食費+学校外活動費)年間平均で公立は約48.8万円(13.9+4.3+30.6)で私立は約140.6(107+0.4+33.1)の費用が掛かります。
学校教育費は,私立中学校において,「授業料」の支出が最も多く4割を占 めている。
学校外活動費を見ると,公立・私立中学校ともに「補助学習費」の支出が最も多く, 公立中学校の方が私立中学校より支出が多い。
(年間) | 学校教育費 | 給食費 | 学校外活動 | 合計 |
中学校(公立) | 13.9万円 | 4.3万円 | 30.6万円 | 48.8万円 |
中学校(私立) | 107万円 | 0.4万円 | 33.1万円 | 140.6万円 |
※参考 文部科学省 30年度こども学習費調査https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00102.html
高等学校(16~18歳)
高等学校も公立と私立の学校があり私立は公立の約2.1倍の費用が掛かるデータがあります。
学習総額費の内訳は(学校教育費+学校外活動費)年間平均で公立は約45.7万円(28+17.7)で私立は約97万円(71.9+25.1)の費用が掛かります。
学校教育費は,公立高等学校では,「授業料」及び「学校納付金等」の支出が 3割弱であるのに対し,私立高等学校では6割強となっている。
学校外活動費を見ると,公立・私立高等学校ともに,「補助学習費」の支出が最も 多い。
(年間) | 学校教育費 | 学校外活動 | 合計 |
高等学校(公立) | 28万円 | 17.7万円 | 45.7万円 |
高等学校(私立) | 71.9万円 | 25.1万円 | 97万円 |
※参考 文部科学省 30年度こども学習費調査https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00102.html
大学(19~22歳)
国立大学の授業料は文部科学省令によって定められており、平成17年より年間535,800円が標準額と決まっています。標準額の120%までの範囲で大学に決定権があるため、実際にかかる授業料は大学によって異なりますが、ここではわかりやすいように標準額で計算します。
授業料は毎年納付をおこなうため、4年間で2,143,200円が必要です。初年度は入学料として282,000円がかかります。入学金と授業料を合せた4年間の学費の合計は242万5200円かかります。
私立大学(文系)の授業料は78万5,581円 入学料は22万9,997円 施設設備費は15万1,344円4年間の学費の合計は352万3,665円かかります。
私立大学(理系)の授業料は110万5,616円 入学料は25万4,309円 施設設備費は18万5,038円 4年間の学費の合計は486万1,811円かかります。
私立大学(医科歯科)の授業料は286万7802円 入学料は 107万3083円施設設備費は88万1509円6年間の合計は1916万1404円かかります。
大学の学費は国立・公立と私立では倍以上の違いがあります。また希望する学部の文系・理系・医科歯科系・その他の等の違いでも学費には違いがある。
そして公立は地元出身の有無によっても入学金と授業料に違いがあり地元出身者に有利になっています。
入学料 | 授業料 | 設備費用 | 期間 | 合計 | |
国立 | 28万2000 | 53万5800 | 4年 | 242万5200 | |
公立 | 39万3618 | 53万8633 | 4年 | 254万8150 | |
私立文系 | 22万9997 | 78万5581 | 15万1344 | 4年 | 352万3665 |
私立理系 | 25万4309 | 110万5616 | 18万5038 | 4年 | 486万1811 |
私立医科歯科 | 107万3083 | 286万7802 | 88万1509 | 6年 | 1916万1404 |
※参考 「29年度 学費平均額」(旺文社 教育情報センター)の資料内http://eic.obunsha.co.jp/pdf/educational_info/2017/0818_1.pdf
貯金を始めるには早いほうが後々楽
こどもの教育や将来のことを考えると、夢が膨らみますが先立つものはやはりお金実際かかる金額を知って計画を立て貯めるのと、ただ漠然と貯めるのとでは貯める意欲と必要な時期に必要な額を用意できる安心感が違います。
こどもの進路を近い将来から仮定してみよう
こどもの進路を仮定するというのはあくまでも仮定で、子供にその道を歩ませるということではありません。自分の将来を検討できる時期が来るまで、親が代わりに考えるという程度です。将来とか進路とか早い時期からカチコチに固めてしまうと子供が親の期待にプレッシャーを感じたり、疲れて無気力になったり成長や思考にもよくないし、選択肢は多いほうが選べる自由や可能が広がります。進路を決める時期になったら本人の意思を尊重しながら可能性を話し合えばいいことなのです。ですが事前に貯金するためには最低限必要な情報です。
仮にオーソドックスな3パターンを想定してみます。
- 幼稚園(公立),小学校(公立),中学校(公立),高校(公立),大学(公立)
- 保育園6年(認定),小学校(公立),中学校(公立),高校(私立),大学(国立)
- 幼稚園(私立),小学校(私立),中学校(私立),高校(私立),大学(私立医科歯科)
- オール公立 (3歳~21歳まで学習総額費)
幼稚園(公立) 3年間 | 小学校(公立) 6年間 | 中学校(公立) 3年間 | 高校 (公立) 3年間 | 大学(公立文系) 4年間 | 合計 | |
金額 | 67.2万 | 192.6万 | 146.4万 | 137.1万 | 254.8万 | 798.1万 |
- 混合タイプ
保育園 (認定) 6年間 | 小学校(公立) 6年間 | 中学校(公立) 3年間 | 高校 (私立) 3年間 | 大学 (国立) 4年間 | 合計 | |
金額 | 144万 | 192.6万 | 146.4万 | 291万 | 242.5万 | 1016.5万 |
- オール私立
幼稚園(私立) 3年間 | 小学校(私立) 6年間 | 中学校(私立) 3年間 | 高校 (私立) 3年間 | 大学(私立医科歯科)6年間 | 合計 | |
金額 | 158.4万 | 959.4万 | 421.8万 | 291万 | 1916.1万 | 3746.7万 |
この進路選択によって総額学習費に最大で5倍の開きがあることがわかる。
このことから希望する進路によってはかなりの高額を準備することが必要で、子供が小さいあまりお金がかからないうちに貯金を始めるべきである。
自分に合った貯金計画を立てよう
自分に合った貯金計画とは単純に収入額にあった無理のない貯金をするということです。生きていれば生活費や住宅ローン・家賃から冠婚葬祭などいろいろなものにお金がかかります。実際は親の収入額により子供の教育費が制限される場合のほうが多いと思います。中学校までは親が主導で決めてあげて、自分の進路を検討できるようになる高校・大学を希望する学部に行けるように計画するのも一つの考えだと思います。
こどもが生まれて大学を卒業するまでに最短で23年 (0~22歳)掛かります。
この23年間で教育費だけの貯金を考えたとき毎月いくら貯金をするかを計算します。
- オール私立の場合 学習総額費 3746.7万
23年×12ヶ月=276ヶ月
3746.7万÷276ヶ月=13.57万円
オール私立の場合は毎月13.57万円貯金が必要です。
②混合タイプの場合 学習総額費 1016.5万
21年×12ヶ月=276ヶ月
1016.5万÷276ヶ月=3.68万円
混合タイプの場合は毎月3.68万円貯金が必要です。
- オール公立の場合 学習総額費 798.1万
21年×12ヶ月=276ヶ月
798.1万÷276ヶ月=2.89万円
オール公立の場合は毎月2.89万円貯金が必要です。
※この計算はあくまでも平均的な学費をもとに23年間で計算したものなので個々の条件(進路や開始時期)により変動します。
子供の人数が多ければ多いほど教育費×人数で増えていきます。兄弟、姉妹で教育に差がないよう、また将来に多くの選択肢が持てるようにしてあげたいものです。
要所で軌道修正しよう
実際に貯金を始めて順調にたまっている状況をみると、このまま行けば大丈夫と思いますが、最初に仮定した進路を子供の成長と共に考え直すことも重要になります。
こどもの教育費の中に学校外活動というものがあります。これは塾や家庭教師やスポーツ教室等で学校以外での活動をデータに基づいて想定したものです。
この学校外活動の部分が個々の考えや地域環境により一番大きく変わってくる可能性が高いです。
小学校まで通ったスポーツ教室に追加して、中学校からは塾を増やしたり、向き不向きがわかってからいろいろと調整があったりと、最初の仮定より費用が掛かってしまう部分や思ったほど掛からなかった部分など出てくるはずですので、子供の成長に合わせて当初の予定通りか、変更がある場合は増額分をまかなえるかを見極めて軌道修正をすることが大事です。
こどもの教育費以外には何がある?
こどもの教育費を中心に考えていますが、他にも多くのことで費用はかかっていきます。限られた予算の中でやりくりをしていくことはとても大変なことですが、子供に苦労をかけたくなのは親として誰もが思うことでしょう。掛かる費用を最小限に抑えたいし、子供の希望は最大限に応えたい、親の立場なら気持ちはよくわかります。
なんでも計画性を持って行動することが最小の予算で最大のパフォーマンスをすることにつながるはずです。
こどもの養育費の種類と平均額
・衣服・服飾雑費
(普段着、寝間着、下着類、防寒着、靴、カバン類、など)
・食費
(粉ミルク、離乳食、おやつ、家庭内食事の材料費、弁当材料費、外食費)
・生活用品費
(おむつ、歯ブラシ、文房具など生活で使用する消耗品、教育娯楽関連の書籍類、CD、 DVD関連、おもちゃ、ゲーム類、子供用家具、家電、寝具など)
・医療費
(医療機関窓口で支払った額、交通費、医薬品類など)
・子どもの携帯電話料金
(基本料金、通話料、パケット料)
・おこづかい
(原則として子供に渡す現金で、子供が自由に使い道を決められるもの)
・お祝い行事関係費
(出産に伴う内祝い、お宮参りなどの他、入園、入学、卒園、卒業祝い費、誕生祝費、クリスマス、子供の日など季節の祝い行事費など)
・子どものための預貯金・保険
(将来の学費などのために積み立てている預貯金、学資保険、傷害保険)
・レジャー・旅行費
(子供との日帰りレジャー代や宿泊を伴う旅行費)
年間養育費 | 年数 | 計 | |
未就園児(0~3歳) | 75万3352円 | 4年 | 301万3408円 |
保育所・幼稚園児(4~6歳) | 76万3179円 | 3年 | 228万9537円 |
小学生(7~12歳) | 82万7957円 | 6年 | 496万7742円 |
中学生(13~15歳) | 97万5567円 | 3年 | 292万6701円 |
高校生(16~18歳) | 97万5567円 ※1 | 3年 | 292万6701円 |
大学性(19~22歳) | 73万4400 | 4年 | 293万7600 |
1906万1689円 |
※1:高校生のデータがないため中学生の数字をそのまま引用
大学のデータは自宅通学とそれ以外からの通学の平均額です。地元から離れた地域に進学した場合、家賃、家具、家電、引っ越しなど記載された以上の費用がかかると考えられます。
未就園児~中学生の養育費
内閣府政策統括官(共生社会政策担当)「インターネットによる子育て費用に関する調査 報告書」https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/mokuji_pdf.html
大学生の生活費
独立行政法人 日本学生支援機構 「平成30年度学生生活調査」https://www.jasso.go.jp/about/statistics/gakusei_chosa/2018.html
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